キャラクターインタビュー
第3回 大道寺 知世小龍「………」 ミリィ「どしたのシャオ? 変な物でも見つけたような顔して?」 小龍「……それはなんだ」 ミリィ「それ…って?」 小龍「その…いかにも「魔法少女」と言わんばかりのブルーでフリフリの服のことだ!」 ミリィ「あ、これ? えへへー、似合うでしょー」 小龍「…脱げ」 ミリィ「あ、あんた…いきなりなんてこと言うのよ! こんな所で…(かああっ)」 小龍「……なにか、著しく勘違いしてないか? 着替えろという意味なんだが…(汗)」 小龍「だいたい、その服どこからもってきた?」 ミリィ「知りたい?」 小龍「…言いたそうな顔だな」 ミリィ「んっふっふっ、実はっ、この人に作ってもらったんでーす! ご紹介しましょう! さくらちゃんの大親友にしてビデオ撮影と衣装づくりのスペシャリス ト! 恋の女神もやっちゃいます! GOD知世の呼び声も高い大道寺知世ちゃんです!」 知世「お初にお目にかかります。大道寺知世です」 小龍「……かぶきっぷりに磨きがかかってるな、ミリィ」 ミリィ「なによ、かぶきっぷりって……ま、それはさておいて、知世ちゃん、自己紹介してくれるかな? お約束だけどね」 知世「はい。私は大道寺知世と言います。友枝小学校に通っていて、さくらちゃんや李君とはクラスメ ートです。学校ではコーラス部に所属しています。趣味はビデオ撮影とお洋服を作る事ですわ」 ミリィ「はい、ありがとう」 小龍「で、こいつの着てるこれを作ったのは…」 知世「はい、私です」 ミリィ「ほら、さくらちゃんが前に来た時頼んだじゃない? それよ」 知世「さくらちゃんの頼みとあっては断る理由がありませんから」 ミリィ「ほんとありがとうねぇ。すっごくかわいい!」 知世「気に入っていただけてなによりですわ。ああ、それと…」 小龍「?」 知世「あと一着、小龍さん用に作ってきましたの。着ていただけますか?」 小龍「なっ、なにっ!?」 ミリィ「よかったじゃない。着替えてきなよ」 小龍「いやだ! 俺にコスプレする趣味はない!」 ミリィ「あっそぉ、そんな事言うんだぁ。それじゃあ…」 小龍「じゃあ、なんだ?」 ミリィ「この前寝ぼけて男湯と間違えて女湯に入ろうとした事、咲夜ちゃんにバラそっかな〜♪」 小龍「なっ!? や、やめろ!」 ミリィ「だったら…」 小龍「わかった、わかったよ……着替えればいいんだろ」 ミリィ「急いでね〜」 (小龍、席を立ってどかどかと遠ざかっていく) 知世「あの、咲夜さんって?」 ミリィ「ん、シャオの彼女。まぁ、あいつが帰ってくるまで二人で話してようね」 知世「はい……ああ、忘れるところでしたわ」 ミリィ「なに? …ビデオカメラ?」 知世「はい。今日のこの様子を、あとでさくらちゃん達にもお見せしようと思いまして」 ミリィ「ふ〜ん。知世ちゃん、ほんとにビデオが好きなのね〜」 知世「ええ。けれど、なにより好きなのは、私の作ったコスチュームに身を包んださくらちゃんの勇姿 をビデオに納めることですわ〜!」 ミリィ「やっぱり、一番好きなのはさくらちゃんなんだ」 知世「はい、もちろんですわ」 ミリィ「ふふっ。それじゃ、今度はさくらちゃんとも一緒におしゃべりしようね」 知世「では、その時は皆さんに私の作ったコスチュームを着ていただいて…」 ミリィ「うんうん、いいわねぇ」 ミリィ「それでさ、知世ちゃんは、さくらちゃんがカードキャプターだって事を知ってる唯一の一般人 よね?」 知世「ええ、まぁ」 ミリィ「どういったいきさつで、その事を知ったの?」 知世「そう、あれは忘れもしない小学校4年の春…ふと、夜空を見上げていたら偶然、杖に大きな羽を 生やして夜空を舞うさくらちゃんの姿を見ましたの。月をバックに華麗に空を舞うさくらちゃん… 今思い出しても、かわいすぎてめまいがしますわ〜!」 ミリィ「知世ちゃん、知世ちゃん」 知世「その次の日、その事をさくらちゃんに尋ねましたの。それでさくらちゃんがカードキャプターに なった事を知ったのですわ。ケロちゃんとも、その時知り合ったんです。 以来、不思議な事件が起こるたびに、私はさくらちゃんと現場に赴き、事件を解決するさくらち ゃんの勇姿を1秒も逃さずに記録してきたんです。 事件のたびに私の作った衣装を着てくれるさくらちゃん。そして、その様子をビデオに撮影する 私……もう、幸せ絶頂ですわ〜〜〜!!」 ミリィ「と、知世ちゃん…?(やば気な雰囲気に気づき始める)」 知世「ああ、けれど、着ていただきたい衣装はまだまだありますのに…」 ミリィ「あの、もしも〜し……(さすがに止めなきゃと思っている)」 知世「クロウカードを封印するさくらちゃん、クロウカードをさくらカードに変えるさくらちゃん…… ああっ、超絶かわいいですわ〜〜〜!!!」 ミリィ(だ、だめ…意識があっちの世界に飛んじゃってる…) 小龍「おい、着替えてきたぞ…って……なんだ、これは?」 ミリィ「なんでもないわ……夢見る乙女が大爆発してるだけだから…(涙)」 小龍「…(汗)」 知世「すみません、取り乱してしまって…」 ミリィ「あ、い、いいのよ、別に…」 小龍(あれから10分、なんにも出来なかったがな…) ミリィ「え〜っと、どこまで話してたんだっけ?」 知世「さくらちゃんがカードキャプターになられたことを知った理由をお話してたんですわ」 ミリィ「あー、そうだったそうだった」 小龍(それで、あの暴走騒ぎなのか?) ミリィ「…で、着替えたんだ、シャオ」 小龍「…着替えに行かせてその反応か…(怒)」 ミリィ「あはは、冗談よっ。そんなに怒んないで」 知世「でも、とてもお似合いですわ」 小龍「…まあ、思っていたのよりはずっとマシだけどな」 ミリィ「じゃ、一段落着いた所で、次の話題に行こうかな?」 ミリィ「ね、ね、知世ちゃん。私、聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」 知世「はい、なんでしょう?」 ミリィ「知世ちゃんとさくらちゃんって、血、繋がってるってホント?」 知世「ええ、そうなりますわね」 小龍「いとことか、そういうのなのか?」 知世「そこまで近い血縁ではありませんわ」 ミリィ「じゃ…」 知世「私の母、大道寺園美は、旧姓を天宮と言うんです」 ミリィ「えと…天宮って確か…」 小龍「さくらの母親の撫子さんも、旧姓は天宮だったな」 ミリィ「つまり……どゆこと?」 知世「母とさくらちゃんのお母様はいとこ同士だったそうですわ。運動会の時、さくらちゃんのお兄様 に聞いたんです」 ミリィ「あ、なーるほどね」 小龍「しかし、運動会の時までその事は知らなかったのか?」 知世「はい。母から、よく撫子と言う可愛いいとこがいたと言う話は聞いていたのですが、まさかそれ がさくらちゃんのお母様のことだとは思いませんでした。 母も、運動会でさくらちゃんに会うまでその事を知らなかったようですし…」 小龍「それは…因果、というか、何と言うか…」 ミリィ「なんか、運命的なものも感じちゃうわね」 知世「運命、ですか……そうですわね。さくらちゃんとは、出会うべくして出会えたような気がします。 初めて席がお隣同士になった時にいただいた消しゴム、少しも使わずに今も大切に保管してあり ますわ」 ミリィ「なんか…言葉の端々に、知世ちゃんのさくらちゃんが大好きって気持ちが溢れてるわね」 知世「ええ。さくらちゃんの事は、この世で一番大好きですわ」 小龍「好きなものを素直に好きと言えるのはいいな…羨ましくさえある」 ミリィ「でも、それだけじゃないんだよね。実際にさくらちゃんの影となり日向となり、表面的なもの だけじゃなくて、メンタルな部分もちゃんとサポートして」 知世「いえ、ただ、私がさくらちゃんのために出来ることを精一杯やっているだけですわ。さくらちゃ んがいつも幸せでいつも笑顔でいてくださることが、私の一番の幸せなのですから」 ミリィ「…この前小狼君にも言ったんだけど、知世ちゃんって、ホントに小5?」 小龍「俺達の方が、見習わなきゃならないところが多いな」 ミリィ「で、そのサポートがらみだけどさ」 知世「はい?」 ミリィ「知世ちゃんって、さくらちゃんの恋のサポートまでやっちゃってるよね? いや、ここはさく らちゃんと小狼君の恋の女神と言った方がいいかしらん?」 小龍「やっぱりそっちに行くのか…お前は…」 ミリィ「でもさ、5年生になったあたりから知世ちゃん、小狼君の肩もつようになったけど、いつから 小狼君の気持ちに気づいてたの?」 知世「さあ、なんとなくでしょうか」 ミリィ「で、なんで小狼君の応援してるの? その頃のさくらちゃんって、雪兎さんに『はにゃーん』 ってなってる頃でしょ?」 知世「さぁ、なぜでしょう」 小龍「もしかして、知っていたのか? さくらの雪兎に対する想いが、純粋に異性に対するそれと違っ ていると言う事に」 知世「ええ、なんとなく。それに、さくらちゃんの中の李君の存在がだんだん大きくなっているのも、 どことなく感じていましたし。 さくらちゃんの一番になれる方は、李君だけだと思います」 ミリィ「でも、知世ちゃんはいいのかな? その…さくらちゃんって、知世ちゃんの…」 知世「ええ……ですが、自分の好きな人が自分と両想いになるよりも幸せなことがあるのなら、私はそ ちらの方がいいですわ。さくらちゃんが幸せであることこそ、私の最大の願いなのですから。 それに、李君にでしたら、安心してさくらちゃんを任せられますし」 小龍「確かに、あいつならな」 ミリィ「でも、小狼君もしっかりしてるように見えて、実はけっこうぼけぼけよね」 小龍「あいつの場合、一つの方面にだけ能力が特化されすぎてるんだ。そのせいで、かえって普通の部 分が鈍くなってる」 知世「さくらちゃんも李君も、本当はとってもよく似たお二人なんですのよ。とても純粋で人を疑うと いうことを知らなくて」 ミリィ「そんでけっこうぼけぼけで色恋沙汰に鈍くて…ね♪」 小龍「傍から見ると、まるで正反対の二人なのにな」 知世「ですから、あのお二人を見ているのはとても楽しいんです。特に、最近の李君は」 小龍「…大丈夫か、あいつ…」 知世「そういえば小龍さん、ずいぶんと李君の事をお気になさるんですね」 ミリィ「こいつ、なんだか小狼君のお兄さんになってる気分なんだってさ。あっちの方が全然リッパな のにねェ」 小龍「べ、別にそんなんじゃ…!」 知世「…お優しい方なんですね、小龍さんって」 小龍「だ、だから…!」 ミリィ「『別に俺は優しくなんかない』でしょ〜?」 小龍「…(かあああっ)」 ミリィ「このぉ、照れるな照れるな!」 小龍「…っ! 俺は帰る!!」 (ばんっ、と席を立ち、どかどかと遠ざかっていく小龍) 知世「…行ってしまわれましたわね」 ミリィ「あちゃ、ちょっとからかいすぎたかな?」 ミリィ「さってと、この辺で今回のインタビューはお開きにしようかな?」 知世「はい。……けど、よろしいんでしょうか?」 ミリィ「ん? ああ、シャオの事? 気にしなくていいわよ、そのうち機嫌直すから」 小龍「そのうちってなんだ(怒)」 ミリィ「わ、びっくり!」 小龍「まったく……人をからかうのもいいかげんにしろ! 年上ったって、一つしか違わないんだから な!」 知世「けど、戻ってきていただいて安心しましたわ。小龍さんがご気分を害されたのは私のせいでもあ りますし…」 小龍「いや、あんたが気にする事はない。悪いのは全てこいつだ」 ミリィ「…何よその言いかた」 小龍「ふん……ところで、この服なんだが…」 知世「それはお二人に差し上げますわ。元々、そのために作ってきた物ですから」 ミリィ「それじゃ、遠慮せずに貰うわね。なんでも、作者さんが私達のコスチュームに使いたがってる って言うから」 小龍「なっ! こっ、これを『エルファ』の方でも着るのか!?」 知世「まあ! でしたら、私も作った甲斐があったというものですわ」 ミリィ「うんうん。それにしても、今日のインタビューはいつにも増して楽しかったわね♪」 小龍「おまえだけだろ、それは」 知世「私も、とても楽しい時間を過ごせましたわ。本日はお招きいただいてありがとうございます」 ミリィ「いえいえ、こちらこそ。 今日のゲストは大道寺知世ちゃんでした〜!」