七星勇者フェリスヴァイン


 『暗黒の使徒』の基地、ゲシュペンスト。
 その中心に位置するドルガイザーとの謁見の間と言うべき『黒帝の間』に闇元帥と四星
士が集まっていた。ただし、その中に黒騎士の姿はない。
 その4人は、妖学士・クロイツが持ちこんだホログラフ映像に見入っていた。そこに映
し出されていたのは、フェリスやフェリスヴァイン、ビーストガーダーズの面々と言った、
これまでの戦いの記録であった。
 そして、フェンリルバーストが黒鍵機・シャドーシャークを焼き尽くしたところで、ホ
ログラフは消えた。

クロイツ「……以上が、これまでのやつらの記録だ」

ブリント「『炎の勇者』、フェリスヴァイン…!」

ヴァンダーツ「陸、海、空の守護者、ビーストガーダーズ……」

クロイツ「奴らは、確実に戦力を増強しているって事だな」

闇元帥「しかし……」

 少し離れた場所からその声を発した闇元帥に、三人の視線が集中する。三人を見る闇元
帥の仮面の奥からは、冷たい光が放たれていた。

闇元帥「みすみす、それを許したのは失態でしたね、皆さん」

ブリント「グッ!」

ヴァンダーツ「……」

 三人が、一様に黙りこむ。

闇元帥「特に、陸、海、空の勇者が揃ってしまったのはいけない。なぜ、ドルガイザー様が
    そのお力で海の勇者を封じていたと思っているのです?」

クロイツ「だが、あの段階で海の勇者の封印が解かれるのは計算外だった。
     俺は、そこまでの面倒は見切れなかったが」

闇元帥「弁解とはらしくありませんね、クロイツさん」

クロイツ「……事実を述べたまでだ」

 クロイツは、やや憮然として闇元帥に応えた。

闇元帥「まあ、ネズミもうろついていたようですがね……」

 闇元帥も、その話はここまでとばかりに一つため息をつき、その身から発せられる威圧
感も和らぐ。

闇元帥「まぁ、過ぎたことを話しても仕方がありません。
    要は、これからいかに『白き力の勇者』を叩くか、ですからね」

クロイツ「……ああ」

ブリント「チッ! 黒騎士のヤロー、こんな時にどこほっつきあるいてやがんだ?!」

 ブリントがはき捨てるようにそう言い放つ。

闇元帥「ああ、彼でしたら、別件で地球に『降りて』いますよ。
    彼もああ見えて、仕事熱心な方ですからね」

ブリント「ケッ、そうかよ」

クロイツ「まあ、それよりも、今はヤツらをどう叩くかだな。
     バニシングポイントを探すにしても、ヤツらとの衝突は避けられんからな」

 クロイツの言葉に、皆が頷く。
 そして、それに応えるべくヴァンダーツが一歩前に出た。

ヴァンダーツ「我、策有り」

闇元帥「策、ですか?」

ヴァンダーツ「炎、勇者の要、破壊」

クロイツ「なるほどな。確かに、今やつらの要となっているのはフェリスヴァインだ。
     ……だが……」

闇元帥「やつらの中で最も力を持っているのもフェリスヴァイン。
    それを叩く策がおありだと?」

 ヴァンダーツは、黙ったままでただ一つ頷く。それをみた闇元帥に口元に笑みが浮かんだ。

闇元帥「いいでしょう。やってごらんなさい」

ヴァンダーツ「御命、了承」

 そして、ヴァンダーツはクロイツとブリントの方を振り向く。

ヴァンダーツ「クロイツ、ブリント。我、汝等、要請有り」

 それを聞いて、クロイツとヴァンダーツは怪訝な表情を浮かべた。

 

 

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