勇者封印 ルインセイバー

 


〜五行陰陽織り成す陣を徒(いたずら)に崩すことなかれ
  世に妖(あやかし)満つる時は陰陽の神用いてこれを封ずるべし〜

 これは、私、桃瀬 美由羽(ももせ みゆう)の住まう影杜(かげもり)神社に代々伝
わっていると言う、「戒め」のような言い伝えなんだそうです。
 なんだっていきなりこんなことを言わなければならないのかというと、今の私の現状を
話すには、この事から始めなければならないからなのです。

 あの、皆さんは、私が15歳にしてこの「陰陽の神」を使役して妖とやらと戦っている
陰陽師だと言ったら、信じてもらえます?
 ……ああっ、待って待って! ひかないで! 私だってまだ嘘だって信じたいんですか
ら!

 そう。私がつらい高校受験を終えて、卒業式を終えた3月のあの日が、私の普通じゃな
い青春の始まりだったのです。


勇者封印 ルインセイバー



 あっと、まずは自己紹介。
 私は桃瀬美由羽(ももせ みゆう)。これまで中学三年生で、今度の春から高校1年生。
みんなからは「ミュウ」って呼ばれてる。髪の毛は肩ぐらいで切りそろえてて、両側のリ
ボンがアクセントッ。目は大きくてくりくりよく動くって友達が言っている。背は、まあ
平均的で、ちょっぴし平均を下回っている胸が悩みの種。
 まあ、そんな感じの、どこにでもいる普通の女子高生だと、私は思っている。

 中学校の卒業式があったその日、私は仲のよかった友達と一緒に家に帰るところだった。
「リッちゃん、ユーコっ! 高校も一緒になれて、よかったね!」
「ほんとほんと。ユーコさまさまだったねー」
「そんなことないよ。リッちゃんもミュウもがんばってたから……」
 私達三人は小学校以来の仲良しで、この日も、そんな取り止めのない話を楽しくしなが
ら歩いていた。これから高校生になるっていうんで浮かれた気持ちもあったんだけど、こ
の時の私には、今日が平穏とはかけ離れた日々の始まりだったなんて事、これっぽっちも
気付いてなかった。
 それで、気がつけば家の神社の前。
「それじゃーね、ミュウ」
「またね」
「うんっ。ばいばい!」
 二人に別れを告げた私は、とてとてと階段を駆け上っていった。この階段、そこそこあ
るみたいなんだけど、小さい頃から「これが当たり前」だった私にはそんなにつらいもの
じゃない。まぁ、体力には自信あり、っていうのもあるんだけどねっ。
 階段を上りきった私の目の前に、私のうちである影杜神社とそれを包む淡い緑たちが視
界いっぱいに飛びこんできた。自慢じゃないけど、比較的都会って言う感じのこの町にし
ては、自然の息吹って言うのがよく感じられる所だと思う。

 私は境内を駆け抜け、社務所を兼用している家のほうに向かった。玄関の扉を勢いよく
空けて、中に飛び込むように入る。
「ただいまぁっ!」
 私は靴を脱いで、そのまま居間の方に駆けて行く。この時間なら、あの人はたぶん、あ
そこにいるはずだからである。
 そして、私の期待通りにその人は微笑みを浮かべながら私を迎えてくれた。
「お帰り、ミュウ」
「ただいまっ、お兄ちゃん!」
 私の目の前でお茶を一服してるこの人が、お兄ちゃんこと安陪 清司(あべ せいじ)。
年は21でこの神社の神主さん。柔和な、っていうかちょっぴり童顔ぎみの顔に、これま
たちょっぴり色が抜けた栗色の短い髪。元はかなりいいんだけど、一昔前でもないような
牛乳のビン底眼鏡がその全てを台無しにしてる。私も苦情は出してるんだけど、本人換え
る気全くなし。ホントに惜しい。
 お兄ちゃんは私の母方の従兄弟で、ちょっと訳ありで私は小学校の頃からお兄ちゃんと
二人で暮らしている。
 そのお兄ちゃんは、私の姿を感慨深げに眺めていた。
「改めて、卒業おめでとう。ミュウ」
「へへっ。ありがと!」
「ああそうだ! 写真でも撮ろうか? この制服姿は最後なわけだし」
 お兄ちゃんはそう言うと、どこからともなくカメラを取り出した。
「学校でも散々撮ってたでしょ?」
 私は、ちょっとため息をつきながら答える。まあ、制服姿を撮りたいって言うんだった
ら、普段と比べたらまだマシかもしれない。お兄ちゃんってば、スキあらば私に「コスプ
レ」させようとするんだもん。
「私、着替えてくるね」
 名残惜しそうなお兄ちゃんを尻目に、私はそそくさと部屋に戻ろうとする。と、その途
中で思い出したことがあって一度お兄ちゃんのほうに振り返った。
「そう言えばお兄ちゃん……またTVに出てたでしょ?」
「ああ、言ってなかったかい?」
「もう。そんなに陰陽師がぽいぽいTVに出てていいの?」
 そう。神主さんとはお兄ちゃんの表の顔で、その実は、平安時代から代々続く陰陽師の
末裔だったりするのです。で、最近の陰陽師ブームでお兄ちゃんにTV局から出演依頼が
来たりする訳で、「陰陽師・安陪清司」はすっかり有名人になってしまっているのです。
 ちなみに、お兄ちゃんによれば私にもその陰陽師の血が色濃く受け継がれているそうな
んだけど。
「まあ、世の平穏を守るのも陰陽師の務めだよ」
 お兄ちゃんは悪びれもせず、からから笑ってそう答えた。
「もうっ。実家のほうから文句が来たって知らないからね!」
 そう言い残して、私は今度こそ部屋に戻ったのだった。



 お昼を食べた後、お兄ちゃんは「仕事」に向かい、私は神社の裏にある祠にやってきて
いた。
 ここに祭られているのは「四元陰陽陣」という、大極図とセーマン印を組み合わせたよ
うな図形が彫られている大きな石版で、さらに大きな岩にはめこまれているそれがこの神
社の出来た由来になっているとか。あ、参考までに、大極図っていうのは、「陰陽といった
らこれ!」と言うような、白と黒の勾玉を組み合わせたようなあれで、セーマン印って言
うのは、要するに五芒星のこと。四元陰陽陣の大極図はまさに白と黒の勾玉二つで出来て
いて、セーマン印の頂点には、5色の水晶がはめこまれている。
 この祠の周囲は林が開けていて、なんというか、ちょっぴり神秘的な感じがする、私お
気に入りのスポットなのである。ここにいると落ちつくって言うか、まあ、そんな感じで、
何かあるたびに私はここに来ていた。
 で、今日は今までのお礼を兼ねて、卒業のご報告に来たと言うわけ。
「へっへ〜。見える、かな? 卒業したんだよ、私」
 私は、卒業証書の入った筒を石版に掲げて見せる。まあ、返事をしてくれる訳でもない
んだけど、それだけ年月が経っている物、魂の一つぐらい宿ってておかしくないじゃない?
 私は石版に近寄って、大極図のところにそっと手を添えてみた。

ぴし……っ

「?」
 あれ? なんか、触った瞬間、石版から音がしたような……。あれ、ヒビ? こんなの、
あったっけ?

ぴし…っ! ぴし……っ!!

「……っ!」
 やだ! なに?! ヒビが、どんどん大きくなってる! 光? い、いろんな色の光が、
どんどん隙間から溢れてきてっ!
 ヒビが、光が、どんどん、どんどん!?

ビキッ! ビシッビシッ!

 ヒカリガ、バクハツスル…?

 シュゴォォォォォッ!

「きゃぁぁぁぁぁっ!!」

 光が、一気に爆ぜた。
 私がしりもちをついて、一瞬、気を失う直前に見えたのは、正に光の柱。その柱は、い
くつにも分かれていって、四方八方、でたらめに飛び散った。そして、私の記憶は一端途
切れる。
 光が収まって、私がほんの数秒の気絶から目覚めた時目に映ったのは、無残に砕け散っ
た岩と、当たりに散乱している石版の破片。そして私の手に握られていた、石版の一部で
ある黒い勾玉だった。

「な、なんなの……?」
 あまりの事にあっけに取られていた私は、そう呟くのが精一杯だった。だって、今起き
た事は、陰陽師の従兄弟を持っているわたしにとってさえも、あまりに非常識な出来事だ
ったから。しかし、目の前の惨状がこれは現実だと無慈悲に教えていた。
 私はとりあえず置きあがって、もう一度辺りを見まわしてみた。一応、現状把握と言う
ものをやってみようと試みる。でも、混乱した私の頭から出たことといえば
『どうやってお兄ちゃんに言い訳しよう』
という、あまりにどうでもいいことだった。
 ただ、現実と言うのは、そんな女の子のおちゃめな混乱も許してはくれないようで。
 表の境内のほうから、私の良く知った声が飛びこんできた。そう、絹を引き裂くような、
ってそれは誉めすぎか、じゃなくって。とにかく、女の子二人ぐらいの悲鳴。
「リッちゃん! ユーコッ!」
 頭で考えるよりも先に、私の体は境内に向けて走り出していた。



 境内で私を待っていたのは、それこそ非常識な光景だった。
 ウチの境内に奉られている狛犬の一匹。それが、ナゼか動いてリッちゃんとユーコを追
い掛け回しているのだ。こんな光景、きょうび特撮でも見ないかもしれない。
 って、そんなノンキなこと言ってる場合じゃなかった!
「リッちゃん! ユーコ!」
「っ! ミュウ!」
「ちょっと! これ、なんの冗談よぉ!」
「待ってて!」
 わけわかんないけど、とにかくあいつの注意を二人から逸らさなくちゃ!
 思うが早いか、私は狛犬に向かって飛び蹴りを敢行した。
「らいだぁぁぁっ! きぃぃぃぃぃっく!!」
 往年の特撮ヒーローを模した私のジャンピングキックが狛犬に炸裂する!
 急に横からの力を加えられた狛犬は、思った以上にあっけなく地面に横倒しになった。
「大丈夫?!」
「ミュウ〜、どうなってるの?」
「私だってわかんないわよっ! とにかく逃げて!」
「に、逃げるって、どこに?!」
「とりあえず家の中! お兄ちゃんが結界張ってて、簡単には入れないはずだから!」
 二人はちょっと躊躇して、それでも家のほうへと走っていった。
 さって、もう少し時間稼ぎを……って、あれ?
 あいつ、私のほう向いてる? もしかして、次のターゲット、私?
 や、やっぱり向かってきたぁっ!
 とりもなおさず、逃げ出す私!
「ど、どうしろっていうのぉっ?!」
 私が、いいかげんヤケになったその時だった。
《落ちつけ》
「っ?!」
 その声。落ちついた男の人のような声が、私の中に聞こえてきた。
《“我”を手に、念じよ。そして、我が“名”を……》
 “我”? “名”? そんなのっ?! ううん待って、分かる。なんでか知らないけど、
心の中に浮かんでくる。
 私は狛犬から逃げながら、ずっと右手の中にあったそれを両手でぎゅっと握り締めた。
そのまま振りかえって、狛犬に向き合う。
 後は“名前”。
 心が教えてくれたその名前を私は叫ぶ! なりふりなんて、構ってらんない!

「ルイン!!」

 手の中がまばゆく輝き、そこにあったものの感触がなくなる。そして、代わりに飛び出
していった黒い光が、狛犬にぶつかって、弾き飛ばした!
 狛犬は2回ほど地面を跳ねて、そのまま動かなくなる。
「た、助かったぁ〜」
 私は、気が抜けて地面に座り込んでしまった。そして、私の目の前に、狛犬を弾き飛ば
した黒い光が現れる。じっと見ているとだんだん光が消えて行き、それは、小さな人型を
形作った。いや、人形って言うよりは、どっちかっていうとロボット。男の子が遊んでそ
うな、おもちゃのアレである。
 その黒が基調のおもちゃロボが、どうやら私を助けてくれたらしい。おもちゃロボは神
妙な面持ちで(って、ロボに表情があるのもオドロキ)私をじっと見て、おもむろに口を
開いた。
「怪我は、ないか?」
(しゃ、しゃべった?!)
 私はもう、驚きで何が何やら。さっきの「なんとなく信用できそう」もどっかに吹っ飛
んでしまった。
「あ、あなたは?」
 だから、この問いに疑いの色が混じっていたとしても、だれも責められないんじゃない
かって思う。でも、おもちゃロボは特に気にもせずに、私の問いに淡々と答える。
「我が名は流陰(ルイン)。機装鎧神が一体、陰影珠に宿りし、陰陽神の陰を司る者」
「ル……イン……」
「少女よ、今は語らう時ではない」
「え……?」
「『奴』はまだ、倒れてはいない」
 ルインがそう言った瞬間、倒れたはずの狛犬がこっちを向いて立ち上がっていた。さっ
きはじっくり見る暇なんてなかったけど、ウチの狛犬、こんなに人相悪くないっ! なん
か邪悪入ってるし!
 って、そんなこと考えてる場合じゃなかった! 狛犬が来るっ!
 ルインが再び身構えて、狛犬がこっちめがけて駆け出す。でも、それを遮る力は、全く
別の方から来た。


「五行相克! 土の性抱く妖を木たる雷にて調伏せよ! 破ッ!」


 階段のほうから放たれたその雷は狛犬を打ち据えて、たまりかねた狛犬は地面を蹴り屋
根を蹴り、一目散に逃げていった。あっ、お堂の瓦がズレた!
 まあ、それは置いておいて、私はここに上ってくる階段のほうに目を向けた。そこには、
思った通り、呪符を構えたお兄ちゃんの姿があった。
「大丈夫かい?」
「お兄ちゃん!」
 私はお兄ちゃんの元に駆け出していった。ルインも、私の後に着いてくる。
「嫌な予感がしたから急いで帰って来たが、一体何があったんだ?」
「うん、いや、その……何から話したらいいのか……」
 ホントにいろいろなことがありすぎて、私は説明に窮してしまったのでありました。



 あの後、ひとまずリッちゃんとユーコには帰ってもらって、私はお兄ちゃんにそれまで
あったことを一通り、分かる範囲で話した。ちなみに、例のおもちゃロボ・流陰もしっか
りと話の輪に加わっている。そもそも、ルインが話の中心なんだけどね。
「で? そもそも、あんたって何なわけ?」
 私がまず先陣を切って、至極もっともな質問をした。
「私は、四元陰陽陣・陰の極にして、機装鎧神が一体、陰を司る陰陽神・流陰。
 呼びかけに応えた時、そのように話したが」
「だから、キソウガイシンだの、オンミョウジンだのって一体なんなの?」
 私のその問いに答えたのは、ルインじゃなくって、その隣でやたらに古い本を開いてい
たお兄ちゃんだった。
「機装鎧神って言うのは、私達のご先祖様が使役していた、一種の式神だね。陰陽神って
言うのは、陰と陽の力を与えられた機装鎧神のこと。
 ……ホラ、文献のここに彼のことが載ってるよ」
「あ、ホントだ」
 流暢な字で読みづらいけど、確かにそこには「陰陽神 流陰」の文字がある。
「私は、美由羽の持つ陰影珠(いんえいじゅ)に封じられた機装鎧神だ」
「じゃあ、石版から飛び出してきた光とか、暴れてた狛犬とかはなんなの?」
「彼の光達は、先の戦いにおいて我らが四元陰陽陣の中に封じてきた妖。名を、装魔(そ
うま)という」
「そうま?」
 私の言葉に、ルインはこくりと頷いた。
「かつて、平安の世で人と装魔の間に争いがあり、時の祓い師、陰陽師らの手によって我
らが生み出され、装魔は四元陰陽陣の中に封印された。我ら機装鎧神をその陣を構成する
核としてな。
 しかし、その力を持ってしても、一定の間しか封じ続けることが出来なかった。その、
封印がとける時期がまさに……」
「この時代、と言うわけか……」
 お兄ちゃんは、湯のみを手にしながらも神妙な面持ちで呟く。ルインも、それにこくり
と頷く。
「私は、再び蘇った装魔を封じるために、この時に戻ってきた」
「それじゃあ、あの狛犬が装魔なの?」
「そうだ。正確には、あの狛犬に取り憑いているモノなのだがな」
「取り憑いている?」
「装魔は、それそのままではさほどの力を持たん。何かに憑いて初めて世に災いを成す力
を得るのだから」
 そこで、いったん沈黙が流れた。

「まあ、なんにせよ奴は祓わなければならないな」
「そうよね〜。おばけ狛犬のいる神社なんてレッテル貼られたら、年末年始の参拝客さえ
こなくなりそうだし」
 そう言って、私はすっと席を立った。
「じゃ、がんばってね、二人とも」
 私は爽やかな激励の言葉を投げ、爽やかに場を離れる……つもりだった。
「何を言っている?」
「はい?」
 ルインが、さも不思議そうに私に問い掛ける。
「お前が来なければ話にならないぞ、美由羽」
「え……な、なんで?」
「それは、ミュウがルインの契約者なんだからだね〜」
「な、なんで?! どうしてそうなるの?!」
「私は、美由羽の呼びかけに応え、再びこの世に現臨した。故に、私の契約者は他ならぬ
美由羽、お前なんだ」
「な……」
 予想もしてなかったこの展開。もう、私の頭の中は真っ白。
「ちょうどよかった。ミュウに着てもらおうと作った特製の式服があったんだ」
 私、普通の女の子だったのよ? この春からの高校生活に心をときめかせて、おしゃれ
やおしゃべりを楽しんで、高校でのロマンス(きゃっ)もちょっぴり期待して、そんな、
普通の女の子だったのよ?!
 それが、それが! ここにきて謎のおもちゃロボ引き連れて、なるべく考えないように
してた陰陽師への道まっしぐら? 美少女女子高生陰陽師誕生?!
「なんなのよ、それ―――――っ?!!」
 私の絶叫が、夜の帳が落ち始めた影杜神社に虚しく響き渡った。しくしく……



 で、いやいやだけど放っておくわけにも行かず、逃げた狛犬を探しにやってきた私。服
はさっきの私服から、いつのまにか着せられていた「お兄ちゃんお手製式服」になってい
た。……なんか、巫女さんって言うより和風魔法少女って感じで、その、とりあえず丈の
短いスカートはどうかと思うんだけどな、お兄ちゃん?
 まあ、ここまできたらじたばたしたってしかたない! とっとと狛犬封印して、普通の
女の子に戻るんだから!
「で? どうやってあいつを探すの?」
 私は、左肩にちょこんと載っているルインのほうを向いて、そう聞いてみた。
「私が奴の呪力を探る。だが……恐らく、もう少しでお前達にも居場所がわかると思うぞ」
「なんで?」
「なぜ、数多の妖がひしめく魔都・平安京で装魔だけがその名を轟かせたと思う?」
 ルインに訊ねられ、私が考えこんで口に指を当てた瞬間だった。
 突然地面が揺れて、ものすごい地響きが辺りを襲ったのだ。
「きゃっ!」
 私は思わず、隣を歩いていたお兄ちゃんにしがみつく。
「大丈夫?」
「あ、うん……」
 私はお兄ちゃんから離れると、辺りを見回した。辺りは暗くてよく分からなかったけど、
それの姿がすぐに目の中に飛び込んできた。そう、あの装魔憑きの狛犬だ。
 ただ、その、なんて言うか、大抵の不思議現象には慣れたはずだったんだけど。
「なんなの? アレ……」
「これはまた、ずいぶんと育ったなぁ」
 そう、あの狛犬、とてつもなく大きくなっていたのだ。大きさは目検討で大体20メー
トルくらいで、より凶悪になった外見に、ご丁寧に羽まで生えてる。西洋のほうに、あん
な感じの妖怪がいなかったかな?
 勝手知ったるルインだけがただ一人、落ちついてこの状況を説明してくれた。
「装魔は呪力・邪気を吸収してほぼ例外なく巨大化する。それが、装魔の完成体らしい」
「は、早く言え――っ!!」
 虚しいとは分かっているけど、突っ込んでおかずに入られない私。ああ、ボケな兄を持
つ妹の悲しい性。
「で、どうやって祓うんだい? あれ」
「そ、そうよ! こんなにちっちゃくちゃ、かないっこないじゃない!」
 私が慌ててひらがなだらけのセリフを言っても、そこは慌てず騒がずルイン先生。
「問題ない。私が、本来の大きさに戻ればいい」
「本来の、大きさ?」
 ルインは、私を見てこくんと頷く。
「今の私は必要最低限の霊力で具現化している状態だ。しかるべき霊力を与えてもらえれ
ば、私は本来の大きさに戻る」
「霊力を……って、どうすればできるの?」
「印を結び、呪を唱えよ。さすれば、私と契約したお前の魂が、その力を導いてくれる」
「印? 呪……?」
 い、いきなりそんなこと言われたって、分かるわけないじゃない。私、普通の女の子な
んだし、陰陽とかそういうの、出来るだけ避けるようにしてたしっ。
「こうだよ、ミュウ」
「あ……」
 お兄ちゃんが私の手を取って、印の形に組み合わせてくれてる。なんでだろ、さっきま
でが嘘みたいに落ちついてきた。
「落ちついて、僕の後に続けて詠唱して。僕がミュウの力を導くから」
「う、うん」
「陰陽五行より生まれし勇者よ」
「い、いんよう五行より、生まれし勇者よ……」
「我が“命”に疾(と)く応え、その姿我が前に示せ」
「……我が、“命”に疾く応え、その姿、我が前に示せ……!」
 私の中から、何かが溢れ出してくる。
 なんとなく、分かる。これが、私の“霊力“なんだ。これを、ルインに!
 私は、スッと息をすいこむ。

『流陰、現臨!』

 私の霊力を受け、ルインが光に包まれる。光は瞬く間に大きくなり、その光の中から8
mほどの大きさになったルインが姿を現した!
「流陰、ここに現臨!」
「上手くいったな!」
「うんっ!
 あいつは……っ?! あ――ッ!」
 狛犬装魔の進行方向を見た時、私は驚いて思わず大声を上げてしまった。
「ルイン! 早くあいつを追っかけて!」
「あ、ああ……」
「ど、どうしたんだ?」
「あいつの進んでる先に、私が通う高校があるのぉ―――っ!」



 ルインは私とお兄ちゃんを手に乗せて、それこそ風のように狛犬装魔を追い始めた。も
う早い早い! そこらの車なんて目じゃないくらい!
 暴れながら町を進む装魔が高校(私が入学予定)にさしかかったところで、ルインはつ
いに狛犬装魔に追いつく!
「追いついた!」
「蹴っ飛ばせーっ! ルインーッ!」
「応ッ!」
 ルインは地面を蹴り上げて、片足を前に突き出して飛びげりを放つ! この場合、叫び
声はアレしかないでしょ!
「らいだぁぁぁぁぁぁっ! きぃぃぃぃぃっく!!」
 私の叫び声と共に、ルインのキックが狛犬装魔に炸裂する。思わぬ不意打ちを受けて、
もんどうり打って校庭に倒れこむ狛犬装魔。続いてルインも、校庭内に着地する。
 校庭についたルインは、私とお兄ちゃんを手から降ろした。
「美由羽、「らいだぁきっく」とはなんだ?」
「ああ、気にしないで。こっちのこと☆」
 そんな小話やってる間に、狛犬装魔は起き上がって来た。うーん、予想はしてたけど、
やっぱりあんまり効いてないみたい。
 ルインはそれを見ると、自分の倍以上はある装魔に向かって走り出した。大地を蹴って
飛びあがり、フックぎみの左パンチをお見舞いする。いきなりの攻撃によろめく狛犬装魔。
でも、まだルインの攻撃は終わりじゃない!
「……フッ…!」
 ルインはパンチの勢いをそのままに、空中で身体を回転させて回し蹴りを見舞ったのだ。
たまらず、装魔は更に身体をよろめかせる。
 ただ、今回は装魔も倒れたりはせず、なんとか持ちこたえて逆に前足でルインに殴りか
かってきた。空中で身動きが取れないルインは、その攻撃を受けて地面に飛ばされる。ル
インは受身を取って地面を転がり、狛犬装魔に右腕を突き出す。
「針零(しんれい)……っ」
 ルインの右腕から、黒いエネルギー弾みたいなものがいくつも発射される。それらは全
部狛犬装魔に当たったんだけど、装魔はまるで気にしてないみたいにルインめがけて突っ
込んできた。ルインは装魔に向かって飛び込むことでそれをかわし、今度は左腕を構えた。
「霊牙(れいが)!」
 ルインの左腕の先端から闇色のレーザーソードが生まれる。ルインはそれを突き立てよ
うと左腕を振り下ろす。
 でも、それは装魔に少し食い込んだだけで弾き出されてしまった。
「……ッ!」
 弾き飛ばされたルインは着地するとすぐに飛び出し、今度は足を切りつけようと低い体
勢で装魔に斬りかかった。
 ルインが足に斬りかかった瞬間、狛犬装魔は空中に飛びあがってそれをかわした。
 さらに、翼をはためかせて空中に留まっている装魔は、地上のルインめがけて口から炎
を吐きかける。
「ぐ、ぅぅ……っ」
「ルインッ!」
 その様子に、私は思わず声を上げた。
「な、なんで? ルインは、装魔を封印した機装鎧神なんでしょ…?」
「……彼がまだ完全ではないからだよ、きっと」
「え?」
 私は、お兄ちゃんのほうを振りかえって見上げる。お兄ちゃんは、ルインのことが書い
てあった本を持って、険しい表情で苦戦するルインを見ていた。
「完全じゃない、って?」
「たぶん、ルインにはもう一つ上の姿があるんだよ。……ほら、ここにもそれらしいもの
が載ってるし」
 お兄ちゃんが開いたページには、グリフォンみたいな動物と、ルインに近い印象を受け
る機装鎧神の絵が描かれていた。
「えっと……流、陰……聖……刃……」
 流陰聖刃(ルインセイバー)。たぶん、それがルインの本当の名前。
「これになったら、きっとルイン、勝てるんじゃない?!」
「……そうかもしれない。でも……」
「ダメなの? 呼び出す方法、書いてあるんでしょ?」
 それでも、お兄ちゃんは黙って難しい顔をしていた。
 少ししてお兄ちゃんは、重たげに口を開いた。
「ねえ、ミュウ。ルインはなんで、流陰聖刃のことをミュウに教えなかったと思う?」
「え?」
 お兄ちゃんは、私の質問に質問で答えて来た。でも、別に私の答えを聞きたくて質問し
たわけじゃないと思う。こういった話し方は、お兄ちゃんの癖のようなものだから。
 その証拠に、私が答える暇もなくお兄ちゃんは言葉を続けていた。
「きっと、ミュウに負担がかかると思ったからだよ。ミュウは今、疲労を感じているはず
だ。ほんの少しかもしれないけどね」
「う、うん」
 私はその言葉に頷いた。確かに、少しではあったけれど疲れた感じがしていたからであ
る。
「式神を使役するには霊力が必要になる。強い式神であればあるほど、より多くの霊力が
ね。たぶん、流陰聖刃となった彼を使役するのに必要な霊力は今の比じゃないだろう。
 加えて、ミュウが意識して霊力を扱うのは今日が初めてのはずだ。
 だから、ルインは話さなかったんだ。ミュウに、過剰な負担がかからないように……」
「そんな……」
 ルインは、まだ装魔と戦いを続けている。いっぱい傷ついているのに、攻撃だってろく
に効いてないのに。
 それは、みんな私のせいなの? 私に負担をかけないようにって、そんなに苦しんでる
の? 私なんかを主にしなかったら、そんな想いしなくてよかったのに……!
 なんで、今日、初めて会ったばかりの私なんか……っ!
《初めてではないさ》
 い、今の、ルイン?! ルインが、私の心に話しかけてきてる!
《私は、ずっと美由羽を見てきた。君が幼い頃から、ずっと。
 もし、共に戦うなら、君しかいないと思っていた》
 でも、私のせいでルイン、そんなに苦しんで。
《その暖かさ、今日言葉を交わしたばかりの、人ですらない私を想ってくれるその優しさ
に、私は惹かれた。
 ……君には、迷惑な話だったかもしれないが……》
 っ! ルイン!!

 ずるいよ、ルイン。そんな風に言われちゃったら、私、いやだなんて言えないじゃない。
 もう。今日だけ。
 今日だけだからね! こんな事するのっ!!
「お兄ちゃん、本貸して!」
「ミュウ!? まさか、流陰聖刃を……?」
 私は力強く微笑んで、頷いて見せた。ここまできたら、女は度胸!
「疲れるのはヤだけど、明日からイヤな気持ちで生活するのはもっとイヤだもん!」
 お兄ちゃんは私を見ると、やれやれといった感じで苦笑いしながら肩をすくめた。
「……そう言うんじゃないかって、思ってたんだけどね」
 お兄ちゃんの優しい笑顔。ビン底メガネ越しでもちゃんと分かる。そんなお兄ちゃんだ
から、私、大好き!
「印はさっきとおなじだから分かるね。あと、呪文だけど……」
「うん、お願いっ!」
 私は印を結んで瞳を閉じた。私の体の奥から、さっきも感じた何かが湧きあがってくる。
それが身体を駆け巡ってる!
 お兄ちゃんの手が、私の背中にそっと触れた。
「漆黒の翼、月夜の覇者」
「漆黒の翼、月夜の覇者」
「我、桃瀬美由羽の名において、我が前に“鎧”纏いて現臨せよ」
「我、桃瀬美由羽の名において、我が前に“鎧”纏いて現臨せよ!」
 私は印を組み替え、一気に“力”を解き放つ!

『陰影合体!!』

 呪が放たれると、ルインの身体が光の柱に包まれる。
「これは、美由羽か!?」
 ルインは左手で素早く印を切ると、その手を天に掲げる。
「来れ、翼影!」
 天の彼方から、黒いグリフォンのようなロボットが飛翔し、同じく光に包まれながらル
インの光と重なった。ルインは翼影と一体になり、光の中で翼影はその姿を人の形へと変
えていく。

「陰影合体!」

 光の柱が消し飛び、中から漆黒の身体と鳥の意匠を胸に抱いたロボットが現れる。同時
に、私の体がロボットの左肩へと運ばれた。

「ルインセイバァァァァッ!」

 陰の力を持つ機装鎧神。陰陽神・ルインセイバーが今ここに現臨した!



 私は、ものすごい疲労感に襲われながら、自分の今いる場所を確認していた。
「こ、ここ、どこ? 私、一体……」
「そこは私の肩の上だ、美由羽」
「ルイン、セイバー?」
 そう、私がいるのは、何故かルインセイバーの左肩の上だった。ただ、落ちるかも、と
か、揺れそう、とかそういった不安は何故かない。そして、多分それは間違ってないと思
う。
「無茶をする。今、相当な疲労が君を襲っているはずだ」
「ま、まあ、ね。でも、こうでもしなきゃ勝てないでしょ?」
「……ああ。助かった、美由羽」
「……ミュウ」
「え?」
「私のこと、ミュウって呼んで。私の友達は、みんな、そう呼んでるから」
 私は、ルインセイバーの顔を見て、にこっと笑いかける。正直、つらくってそんな余裕
もないんだけどね。
「分かった。行くぞ、ミュウ」
「OK!」
 ルインセイバーが、狛犬装魔に向かって一気に駆け出した! 思った通り、落ちそうに
なるどころか揺れさえもあんまり感じない!
 ルインセイバーは、左腕から生まれた影の刃で装魔に斬りかかる。
「辰月(しんげつ)!」
 後一歩、紙一重で狛犬装魔は辰月の一撃をバックステップでかわした。でも、かわされ
たと思ったその右肩には、浅いけどしっかり傷がついている。
 ルインセイバーが続けて刃を横に薙ぐ。その一撃は装魔に読まれていたのか、装魔はあ
っさり空中に浮かび上がってかわした。
(って、これって、さっきの……!)
 私の予想通り、狛犬装魔の吐き出した炎が私達に襲いかかる!
「ルインセイバー!」
「月霊甲(げつれいこう)!」
 ルインセイバーが防ぐように掲げた右腕に、巨大な針――もしかしたら、槍かな?――
が内装された巨大な手甲が現れ、それが炎を防ぐ。
 炎を防ぎきったルインセイバーは、月霊甲の先端をを空中の装魔に向けた。
「月霊針(げつれいしん)」
 月霊甲の先端から、いくつもの光の矢が放たれた。
 光の矢が狛犬装魔の翼を撃ち抜き、装魔は地面に叩き落された。
 う〜、でも、けっこうツライなぁ。なんか、立ってるのもつらくなってきた。
「ミュウ、大丈夫か?」
「え? あ、うん。なんとか、ね」
「次で、奴を封印する。もう少しだけ、力を貸してくれ」
「……うん」
 私の返事を確認すると、ルインセイバーは月霊甲を引いて狛犬装魔めがけて地面を蹴っ
た! 空中で一回転して、再び地面を蹴って加速する!
 狛犬装魔はそれを避けようとしたけれど、それよりも早く月霊甲の一撃が装魔の胸に突
き刺さった!
 ルインセイバーはさらに左腕の辰月に刃を生み出した。ううん、生み出そうとしてた。
でも、現実には出ていない。それは、ルインセイバーを使役している私が、もう限界だっ
たから。正直、ルインセイバーを呼び出す時に霊力のほとんどが引っ張られて、体力とな
けなしの精神力でようやく立っているようなものだったんだけど、それすらももうなくな
りそう。
 もう、ダメかも。私が、そう思った時だった。
「っ?!」
 何かがいきなり私の中に入りこんで、身体がびくっと震えた。それと同時に、私の意識
がどんどんクリアーになっていく。外からの力、もしかして、お兄ちゃん?!
 私の視界の中に、印を結んで必死に何かを祈っているようなお兄ちゃんの姿が見える。
(お兄ちゃん、助けてくれたんだ……!)
 私の意識が戻ると同時に、辰月にも刃が生まれた。
 ルインセイバーは、その刃を月霊甲に叩きこむ!

「秘術・陰牙、凰封!!」

 辰月の力が流れこむと同時に、月霊甲の中の巨大な針が紫の光を帯びてとびだし、装魔
の身体を貫く!
 貫かれたところから光の塊のようなものが飛び出し、狛犬は元に戻り、光の塊は影杜神
社の方角へと飛び去っていった。

「装魔、封印」

「お、終わったぁ……」
 私はすっかり力が抜けて、ルインセイバーの肩の上にへたり込んだ。そして、ルインセ
イバーが月の光を浴びて幻想的に煌いていた。



 狛犬装魔の封印がすみ、ルインに手伝ってもらって狛犬を元通りに戻した後、私達は家
の居間でゆっくりとくつろいでいた。
 あー、でも、ほんと散々な一日だったなぁ。
「ホント、疲れたぁ〜〜」
「ふふっ。お疲れ様、ミュウ」
「ああ、ありがとう、ミュウ」
「あはっ……」
 私は、ちょっと照れくさくなって、笑ってごまかす。
「お兄ちゃんもありがとうね。最後の時、私に力をくれたでしょ?」
「ああ、実はあの服には私が作った護符がいくつも織り込まれていてね、それを介してミ
ュウに力を送ったんだ」
「へえ、ただのコスプレじゃなかったのね、あの服」
 ちなみに、今の私はパジャマ姿。いつまでもあんなコスプレまがいの服を着ていられる
ほど、私の神経は図太くない。
「ま、装魔の封印は終わったし、狛犬も元に戻したし、これにて一件落着ね!」
 そう、これで私は明日から晴れて普通の女子高生(予定)! もう、こんな非常識の塊
みたいな事からは開放されるんだ〜☆
 そんな、ちょっぴり浮かれてる私の姿を見て、ルインが口を開いた。
「何を言っているんだ?」
 えー、と。私の幸せ気分は、ルインのはなった一言で、あっけなく、崩された。
「は、はい?」
 私は、ハニワにような顔になってルインに問いただす。
「少しも解決などしていないぞ。装魔は、あれ一体ではないのだからな」
「う、うそ……」
 え? でもほら、私はちゃんと受け持ち分の封印はしたわけだし、それでお役御免って
……なんない、かな?
 なんないよね、きっと。
「ち、ちなみに、装魔ってどのくらいいるの?」
「百八体だ」
「……」
 この瞬間、私は身も心もハニワになった。
 ううん、いっそ、ホントにハニワにでもなっちゃったほうが幸せかも。
「ということは、これからもあの服を着る機会が増えたって言うことかな?
 それに、霊力を操る練習も始めないとね」
 ……お兄ちゃんが、嬉しそうになんか言ってる。
「これから長い付き合いになるな。よろしく頼む、ミュウ」
 ルインが、真面目な顔してなんか言ってる。
 私は普通の女の子で、普通の女子高生になって、妖怪だのオカルトだのとは無縁の、真
っ当な青春を過ごすはずだったのに。はずだったのにぃぃぃぃ!

「私の青春、返してよぉぉぉぉぉぉっ!!」


 かくして、私、桃瀬美由羽と陰陽神・流陰の1年にわたる長い長い戦いの日々が、非常
に、ひっじょ〜〜〜〜に不本意ながら始まってしまったのです。
 ん? お兄ちゃん?
「美少女陰陽師、ここに誕生だね☆」
 そんなの、やだぁぁぁぁぁぁっ!!

お・し・ま・い♪

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<あとがき>

 どうも! エルファアカデミー1周年記念作品、「勇者封印 ルインセイバー」
楽しんでいただけたでしょうか?

ミュウ「それはいいけど、公開が1周年から1週間くらい経ってるわよね」

 う、うぐっ! そ、それは、その……

清司「それは、ゲームだなんだって遊び呆けてたからだよね☆」

 いや、だからな。その……スミマセン。
 次からマジメにやりマス。

ミュウ「それで、なんで1周年記念が、私達のお話なの?
    フェリスヴァインの番外編とかが妥当だと思うんだけど」

 フェリスヴァインの方は、まだメインキャラが出揃ってないからね。番外編とかはそれからにしたい。
 それに、君達の事、早くみんなに教えてあげたいなって思って。

清司「つまりは、君の自己満足のためだったんだねえ」

 まあ、ぶっちゃけて言えばね。
 フェリスヴァインがあるから新しくシリーズ立ち上げるわけにはいかないし、なによりルインセイバー
はまだ設定が詳しく決まってない。
 でも、読切って言う形だったら現状の設定でもなんとかなると思ってね。

ミュウ「それで、今回、私の一人称って形を取ったのはどうして?」

 んー、まあ、一番にはミュウの視点で話していくのが一番やりやすかったってことかな。
 後、主人公であるミュウのキャラクターをしっかり捉えておきたいって言うのもあったし。
 ほら、文章に書く事でキャラが成長する事ってよくあるし。
 ミュウに関して言えば、ミュウのキャラって「東京ミュウミュウ」のいちごに影響受けてる
所あるかなーとか、ここまで書いても清司のキャラがいまいち掴めなかったなーとか。

ミュウ「それに、私の一人称だったから、お兄ちゃんの名前が出てくるって事がほとんど
    なかったわよね〜」

清司「みんな〜。安陪 清司、あべ せいじをお忘れなく〜!」

 まあ、色々裏設定とかもあるんだけど、それはいつか始まる本編を楽しみにして
もらおうかな、なんて。それに、気が向いたら、また読切って言う形で書くかもしれないしね。

清司「それではみなさん。いつかまた出会う、その時まで」

ミュウ「また会おうね、みんなっ! 私、待ってるから!」

 

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